10月25日週の資金調達
1 Cryptoのデリバティブ取引所が420億円調達 2 香港にてブロックチェーンゲーム開発が65億円調達 3 リモート採用のDeelが425億円調達 など 合計15件
SEQUOIA CAPITAL
①FTX / トレーダー用のCryptoのデリバティブ取引所 B2C Crypto
4億2,069万ドル(約420.7億円) シリーズB
Binance, Coinbase,Krakenと並ぶ世界的なCrypto取引所。登記上の所在地はバハマ。これまではトレーダー向けであったが、マイアミのアリーナの命名権などのスポーツスポンサー活動を通じて、顧客層の拡大を狙っている。 420と69は、meme文化にちなんだもの。
注目のポイント:ファウンダーのBankman-Friedは、Cryptoスタートアップに投資するAlameda Researchのファウンダーでもあり、29歳にして225億ドルの資産を有すると言われている。
②enovate3D / 中国の3Dプリンティング B2C 3Dプリンター
1,500万ドル(約15億円) シリーズA
セコイアとシャオミがラウンドをリード。電子3Dプリントの分野でミクロンレベルの精度に特化した中国初の3Dプリンティングを提供。LVMHやシャオミを顧客に持つ。
注目のポイント:これまで、電子加工技術は、製造精度が低い、遅い、材料の限定、空間の三次元構造の製造が容易ではないなどの欠点があった。enovate3Dは、これらの課題を解決しようとしている。
③'She said' App / 中国のマッチングアプリ B2C ソーシャル
調達額不明 シリーズA
数十万のデイリーアクティブユーザーを抱え、数百万ユーザーのマッチングを実現。ユーザーの30%以上が帰国子女で、75%が大学・大学院卒で金融、不動産、IT関連の職につくの高所得者層。
注目のポイント:これまで多くのマッチングアプリでは、様々な悪質な出会いが存在していた。'She said'では、女性主導、大学及び職歴のプロフィール開示等により、その課題を解決しようとしている。
④ShouTi / 中国の慢性疾患向け新薬開発 B2C 製薬
1億ドル(約100億円) シリーズB
サンフランシスコと上海に拠点を置く。注力計算化学と構造生物学を組み合わせたGタンパク質共役型受容体(GPCR)の研究手法を採用。
注目のポイント:これまで、慢性疾患の治療法の多くは、生物学的製剤やペプチド製剤であった。しかし、これらの薬剤は、複雑な製造かつ、低温保存が必要で、物流でも課題が存在した。ShouTiは、それらと同じ働きをする低分子化合物を錠剤にすることで、課題を解決しようとしている。
⑤Animoca Brands / 香港にてブロックチェーン、AIを利用したモバイルゲーム開発 B2C ゲーム
6,500万ドル(約65億円) シリーズB
https://www.animocabrands.com/
注目のポイント:近年、a16zが、Cryptoゲーム関連のスタートアップであるYGG(8億円調達)や、Axie Infinitie(152億円調達)、Dapper Labs(250億円調達)に投資を行っているが、Animoca Brandsはそれらにアーリーステージから出資をしている。
⑥HT Aero / 中国にて空飛ぶ車の開発 B2B モビリティ
5億ドル(約500億円) シリーズB
7月に、飛行時間35分、最高時速130kmの最新の電動旅客ドローン「Voyager X2」を発表。低空飛行と道路走行の両方に対応した新バージョンの空飛ぶ車の開発中で、2024年にリリースを予定。
注目のポイント:この技術はまだ実験段階にあり、市場評価は難しいと言われている。モルガン・スタンレーは、2020年5月には、自律型都市航空機分野を1.5兆ドル市場と見積もっていたが、今年の初めに1兆ドルに引き下げている。
Founders Fund
①AirGarage / 駐車場向けフルスタックのソフトウェア提供 B2B SaaS
1,250万ドル(約12.5億円) シリーズA
アメリカの200以上の拠点を管理。駐車場のデータから、ダイナミックプライシングなどのサービスを提供するほか、すべての広告、支払い処理、オンラインリストの作成を行っている。
注目のポイント:これまで、顧客である駐車場は、アプリやクレカの導入でIT化しようとしても、それぞれのプロバイダーと契約をする必要があり、契約と管理に手間がかかっていた。AirGarageは、すべてをフルスタックで提供し、この課題を解決している。
②Rippling / 従業員のオンボーディングシステム提供 B2B HRテック
2億5,000万ドル(約250億円) シリーズC
企業は90秒で、従業員の給与、健康保険、PC、Gmail、Microsoft Office、Slackなどのサードパーティアプリを設定(または無効化)することができる。
注目のポイント:リモートワーカーが増加した影響で、企業は対面で会うことなく、従業員のオンボーディングと退職時の手続きを行う必要があった。しかし実際はそれらは複数の部署やツールで管理されており、非常に煩雑となっていた。この課題をRipplingは解決している。
③Contraline / 避妊用医療機器の提供 B2C ヘルスケア
1,000万ドル(約10億円) シリーズA
長続きする安全で効果的な避妊のための医療機器を提供。これから臨床試験を開始予定。
注目のポイント:これまでの避妊方法は、複雑なオペレーションが必要であったり、短期的な効果しかないなど、様々な問題を抱えていた。Contralineは注射により、効果的かつ長期間の効用のある方法を開発し、この課題を解決しようとしている。
④Superplastic / 独自キャラクターによるアパレルグッズ等の販売 B2C アパレル
2,000万ドル(約20億円) シリーズA
グッチ等と提携し、Guggimonなど独自のキャラクターを使ったアパレルやNFTの企画、販売。Discordコミュニティ「Jankyverse」を運営。
注目のポイント:今年、NFTの流行により多くのNFTプロジェクトが製作された。しかし、Superplasticは、それ以前から独自のキャラクターと強いコミュニティと大手ブランドとの提携によって収益を上げることができている。
⑤Open / ヨガ、リラクゼーションのためのアプリ B2C メンタルヘルス
900万ドル(約9億円) シリーズA
Twitterのジャック・ドーシー、DoorDashのトニー・シューらもラウンドに参加。
注目のポイント:パンデミックの影響で、マインドフルネスがブームとなった。関連アプリのダウンロード数が約40%増加し、マインドフルネスアプリの市場は1億5400万ドルに達したと言われている。
ANDREESSEN HOROWITZ
①AirGarage / 駐車場向けフルスタックのソフトウェア提供 B2B SaaS
Founders Fundで上述。
②Foodology / コロンビアのデリバリーに特化したレストラングループ B2C 外食
1,500万ドル(約15億円) シリーズA
ハーバードビジネススクールのレストラン業界のコースで出会った2人が創業。2019年からコロンビアとメキシコのクラウドとバーチャルキッチンでレストランブランドを提供。今後はラテンアメリカ全体に拡大予定。
注目のポイント:パンデミックの影響で、顧客にはデリバリーのニーズが増加していたが、地元のレストランは、それに対応することができていなかった。Foodologyは、テクノロジーとデータを導入してより効率的になり、それらの設備投資を迅速に拡大することに成功した。
③Deel / リモート採用プラットフォーム B2B ソフトウェア
4億2,500万ドル(約425億円) シリーズD
2019年に設立。4月に1億5,600万ドルを調達していた。Y Combinatorのalum。地域の法律、税制、給与計算をナビゲートし、世界中でリモートワーカーを雇うことを可能にする。顧客数は昨年9月500社=>今年4月1800社=>10月4,500社に増加。
注目のポイント:パンデミックの影響でリモートでの採用が加速する中、海外での採用には法的な手続きを始め多くの手間がかかっていた。Deelはその課題を解決し、グローバルな雇用、決済、コンプライアンスの分野で最も高い評価を受ける企業となった。
④Worldcoin / 世界中の人にCryptoを提供 B2C Crypto
2,500万ドル(約25億円) シリーズ不明
注目のポイント:近年、企業の個人情報の扱いに対する懸念が高まっている。Worldcoinも、目をスキャンすることで得られるデータにおいてプライバシー保護が適切になされるか、それを使い利益を得られる仕組みになっていないかなど、疑惑の目が向けられているが、同社はゼロ・ナレッジを使ってプライベートで安全に保たれていると主張している。
⑤Element Finance / 分散型金融(DeFi)の固定金利プロトコル B2C DiFi
3,200万ドル(約32億円) シリーズA
4月に440万ドルのシード調達をしていた。預金を元本と金利の2つのトークンに分離することで、元本のトークンの権利を売却しても、金利のトークンを保持することができるようにしている。アクティブユーザー数は9,000人、取引量は7,000万ドル、ロックされた総額は1億8,000万ドルに達したと言われている。
注目のポイント:これまで、金融資産を貸し付ける時には、元本が凍結されるのが常識となっていた。Element Financeは元本と金利にトークンを分離することで、高い交換手数料を回避することができる。